誰でも主人公。
小旅行から帰って一息ついた時、開口一番に言う台詞が_
『あー、やっぱり家が一番!』
………。
_それなら、どこにも行かなければいいんでしょうが、少し経てば
また、旅支度をはじめる。
旅とはいったい何なのか?
************
彼は旅人。
場所はアメリカ。
それも『そこに住んでいる人以外は誰も知らないような』_ごく小さな町
『スモールタウン』だけを選んでレンタカーで横断するという永年の課題を果たすために。
そこにある『アメリカの素顔』を探す旅に。
………
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語るに足る、ささやかな人生 (小学館文庫) 著者:駒沢 敏器 |
著者はあの『Switch』の編集者を経て、作家、翻訳家になった、いわばアメリカ通。
本書はそんな彼が普通なら通り過ぎてしまうような、見向きもされない場所_
『スモールタウン』を直感と偶然性だけでつなぐ、無作為の旅の記録を短編集のように
紡いだ作品です。
大平原に恐竜のようにそびえ立つスクリーンのある町でカウボーイに出会い、幽霊の
棲むホテルのレストランで食事をし、コンピュータ管理の酪農家に立ち寄り、元大統領
の出身地で幼児虐待のための保護機関(CASA)で幸福について考え、世界のナマズ
の首都で料理を教わり、マウンテン・ミュージックが流れる町で花火を見る…。
そうした『小さな町の住人たちの、フェアな精神とかぎりないやさしさ』がもたらす
素晴らしさとアメリカ大陸の大自然がもたらす刺激に感銘をうけながら著者は旅を
続けていきます。
現在の資本主義の象徴ともいえる、巨大な成功者が暴走するアメリカにもこんな、
小さいけれど平和で幸福な生活を望む人たちの『語るに足る、ささやかな人生』がある
_それはきっと何かを私たちにもたらすだろう_そう自信をもって語りながら。
旅に出る前に読んでみてほしい1冊です。
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最後に著者はいう。
旅とは_『そこに生きている人たちに向けている視線』がやがて、『自分の内にも
振り向けられ』、そこで『君は何をして生きているのか』という自分の囁きに気づくことで
あり、それは結局、『どこにいても同じこと』であり、わざわざ『旅をする意味など本当は
どこにもなく』、普段の生活で見出されることを、『わざわざ遠くまで探しに来ているような
もの』_だと。
………
人は旅に出る。
時間をかけて自分を知り、何をして生きるかを探すために。
………
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